第七章 霊媒師休日

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僕の尻の匂いを嗅いだ後、反対側の脇腹をスンスンしながら一周まわって顔の前に戻ってきた。 ピンボケするかしないかギリギリの至近距離。 白猫のキュートな無表情が僕の視界一杯に映って……って……わぉ……! 桜のようなピンク色のお鼻、その左右にあるウィスカーパット。 要はこの部分→ω、が、ぷくっと膨らみ、弾力のあるすべてのヒゲが僕の方に向いている。 猫は興味のあるものを前にするとヒゲが前を向くという。 この状況……少しは僕の事が気になっているくれているのだろうか? もしそうなら……嬉しい! 少なからず嫌われてはいないかも、という気持ちから、僕はおそるおそる偽香箱の下から右手を出した。 そして人差し指をゆっくりと白猫の鼻先に近づける。 猫同士、尻の匂いを嗅ぐよりもっとフランクな軽い挨拶を交わす時は、お互いの鼻先を子供のキスのようにくっつけるのだが、僕の人差し指は猫の小さな鼻のかわりだ。 受け入れてくれるといいんだけど。 僕の人差し指が白猫の鼻先を追う。 もちろん同時にパチ……パチ……ゆっくり瞬きも忘れない。 白猫は僕の指先に誘われるように、首をニュウっとのばして距離を詰める。 ……もうちょっと、もうちょっとで、この桜色の鼻に触れ、、、 フイ! スカッ! あぁ! なぜ!? 僕の(?)かわいい白猫は、触れ合う寸前、のばしてた首をスチャっと戻して鼻挨拶を拒否、そしてツンとすまして気高くそっぽを向いてしまった。
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