第七章 霊媒師休日

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僕はさらに続ける。 「シロネコちゃんはこの神社の護り神なのかな?気品があるし神々しいねぇ」 神々しい、僕がそう言った途端、白猫は姿勢正しく(猫だから猫背だけど)優雅に座り、目を閉じて片手を上げた。 え!? ブッタ!? 今のポーズはブッタ!? 僕は偶然とは言い難い、「神々しい」というワードと関連性の高いブッタポーズに、唖然とし黙り込んでしまった。 まさか……この仔、本当に人語を理解してるのか? いやいやいや……まさか……でも……絶対にないとは言えないんじゃないか? だって実家の猫、きなこ(茶トラ12才)は「ごはん」「おやつ」「あそぶ」この3つに限り完全に理解してるぞ? 「………………」 僕は偽香箱座りの格好から上半身を起こし、正座しながら白猫を観察する。 白猫は僕の視線に気付いてか、ごまかすように毛繕いを始めた。 ああやってベロンベロンしているのを見れば普通の猫なんだよなぁ。 大体、ブッタのポーズだ!なんてびっくりしたけど、あれは招き猫のポーズだったのかもしれないし。 いや待て、この際ポーズの種類はどうでもいいだろ。 それより……僕は実家の両親の言葉を思い出していた。 『きなこは12年も人と暮らしてるから、人語のヒアリングは完璧』 僕以上の猫バカ両親のいう事だから話半分にとどめるとしても、その意見を真っ向から否定することはできない。 でもなぁ、「神々しい」は「ごはん」「おやつ」「あそぶ」とは別次元のワードだ。 猫の好きな食べ物やおもちゃのどれとも掠ってもいない。 それに「神々しい」と声を掛けたあのタイミングでのブッタのポーズ(招き猫かも?)って信じがたいが意味がわかってやったとしか思えない。 そして固まる僕を前に、ごまかすような毛繕いもワザとらしい。
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