第七章 霊媒師休日

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深まる疑惑。 僕はそれをハッキリさせるため、白猫にカマをかける事にした。 「シロネコちゃぁん、かわいいねぇ、」 うにゅん! コクビカシゲー! 「ツヤツヤ毛並みがキレイだし、」 うなーん! ウエムイテ トクイガオー! 「だけどお腹はタプタプでオッサンみたいだねぇ、」 オアァア゛!? ニ゛ャッ!!ニ゛ャッ!! シッポ ビタンビタン!! おぉ! 切り分け成功! 白猫は腹のタプタプを気にしてたのか、それとも「オッサンみたい」と言われたのが気に入らないのか、「かわいい」「きれい」の時とは違って、あからさまに態度が違う。 長い尻尾をビタンビタンと地に叩き、桜色の鼻にシワを寄せた不機嫌顔で僕を睨みながらフシャーフシャーと文句を言っている。 間違いない……! 信じられない事だけど、この仔は人語を理解してる! 僕は「かわいい」も「きれい」も「タプタプオッサン」も同じ甲高い声でゆっくりと、リズムも変えずに笑顔で言った。 この3つの中で不機嫌になったのは「タプタプオッサン」だけだった。 て事は、この仔は人間の発する声のトーン、リズム、スピードだけで人語を判断してるのではない。 人語を、言葉を、文章を、なおかつ人間の文化も理解しているのだ。 「タプタプオッサン」が一般的に悪口だと理解してのお怒りなのだろう。
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