第七章 霊媒師休日

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ただこれだけは言っておきたい。 猫という生き物は、(犬も鳥もハムもウサギもだけど)たとえ「タプタプ」でも、「オッサン」でも__もっと言えば、白目むいた不気味な顔で眠ろうとも、年を取っても、なにしてもかわいいのだ。 だから白猫に対しての「タプタプオッサン」は、僕の中では悪口ではなかったのだけど…… ______と、いった事も含め、元お客様相談センター勤務だった僕は、相手が人でも猫でも関係ない、不機嫌な白猫に誠心誠意、心から謝罪した。 そして出逢ったばかりではあるけれど、僕がどれだけキミという白猫に惹かれてしまったかという熱い想いをこの際だからと延々と語らせてもらった。 序盤こそ気分良さげに愛の語らいを聞いてくれた白猫だったけど、いつまでも終わらない話に飽きたのか、ザッザッザッと、僕に向かって砂をかけるような仕草をし、長い尻尾をビタンッ!と地に叩き付けた。 僕はハッとする。 しまった!話が長くて白猫を怒らせてしまったようだ! あぁ……そんなジト目で僕を見ないで……って、いや!やっぱり見て! 猫という生き物はキュルンとした黒目もかわいいけど、蔑むようなジト目もまたかわいいんだよなぁ!もうっ!もうっ!もうっ! あぁ!かわいい! だめだーーー!! もうガマンできないーーー!! 紳士の仮面が砕け散り、猫欲にまみれてしまった僕は、両手を差し出し白猫の脇の下に手を潜り込ませるのと同時に、ヒョイとその体を抱き上げた。 突然の抱っこで白猫はいやがるかと思ったけど、意外にもすっぽりと僕の胸の中に収まってゴロゴロと喉を鳴らしはじめた。 良かった……嫌がっても怖がってもいないようだ。
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