第三章  霊媒師研修ー1

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「あー痛かった! バチィってきたよ! バチィって!」 「すみません。静電気きちゃいましたね」 「ああ、いいんだ! つか、エイミー放電できたじゃん!」 「いや、これただの静電気ですよ」 「違うね。さっきのはエイミーの霊力が放出されたんだよ。バチッてなった瞬間光ったろ? 普通の静電気は青白い光か、もしくは黄色に近い緑色だ。だけどアレは確かに赤かった」 「そう言われると、寝る時に布団の中で見る静電気の色とは違うような気がします」 「だろ? まだ量は少ないけど放電できたんだ。初日からすごいな! やっぱり拳と拳をぶつけ合うと分かり合えるもんなんだ! あっ!それから追い詰められて潜在能力が発揮される作戦、大成功だな!」 「えぇ!? えぇ、まぁ、結果的にそうかもしれません……」 「よし! しばらく放電の訓練をしよう! で、好きな時に好きなだけ放電できるようになったら、“生きた人間”と“幽霊”を視分けられるようになるぞ。“生きた人間”に放電した場合、相手の身体のどこかに触れると赤く光ったあと消える。だが、“幽霊”の場合、放電した電気が別の大きな電気の集合体に引っ張られ、直接触れなくてもエイミーから“幽霊”まで赤い電気の線で結ばれる。要は、エイミーと“幽霊”間で小さな落雷が発生した感じになるんだ」 「おぉ! 目に視えて印がでるならわかりやすいですね!」 「なっ! そうだろ、そうだろう! これで駄目なら、もう1つ応急処置的な視分け法もあったんだけど、なるべくなら使いたくない手段だったからな! ああ、良かった!」 「もう1つの手段ってどんなのですか? 気になります」 「なに、簡単だよ。エイミー、スマホ持ってるだろ?」 「はい、ありますけど」 「スマホのカメラで、判断に迷う対象者にレンズを向けるんだ。“生きた人間”なら映るけど、“幽霊”なら映らない」 「へぇ! その方がずっと簡単じゃないですか! スマホならいつも持ってるし、いっそそれで良いんじゃないでしょうか?」 「あぁ、確かに簡単だ。けどな、今の世の中は盗撮だなんだって騒がれやすいだろ? エイミーにそんなつもりはなくても、男が街中や電車の中でカメラ持ってキョロキョロしてたら面倒な事になると思うぞ? まぁ、そん時は俺が引き取りに行ってやるけどな」 「あ、確かにそうかもしれないですね……盗撮の冤罪はいやですからねぇ。やっぱり僕、放電の訓練頑張ります」
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