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スンスンスンスン……
清らかな水の匂いが強くなってきた。
やっと水が飲める。
えぇっと……あっ、あすこね。
私は前方に見える石甕を見た。
間違いない、石甕の横に立つ若い男が柄杓で水をすくってる。
ああ、なんておいしそうな水。
あの男がいなくなるまで待とうかと思ったけど、どうせ私の姿は見えないんだもの。
遠慮なんか必要ない。
ぴょんっと、ひとっ飛び。
私は石甕の縁に乗るや否や、水面に顔を突っ込んで夢中で水を飲んだ。
うわぁ、おいしい!
“虹の橋のふもと”の小川と同じくらいおいしい!
おいしいけど手足が濡れるのはチョット不快。
私は飲みながら途中、手足を交互にブルブルさせて水気をとる、そして、飲む、そして手足を……ふはは、これじゃあキリがないわ。
んべんべんべんべんべ……ぷっはー!!
うまい!
ごちそうさま!
トゥ!
清らかな水に大満足の私は、石甕の縁を蹴り地面に降りた。
さて、喉も潤った事だし、次は身だしなみを整えなくっちゃ。
猫たるものいつだって毛並みを艶々にしてないと。
私は迷う事無く参道の真ん中を陣取った。
テレビで見た事がある。
神社の参拝者は参道の端を歩くのが決まり事になっているって。
だからここなら落ち着いてお手入れができるわ。
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