第八章 霊媒師と大福ー2

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呆れて男を凝視していると、そんなのお構いなしにベタ褒め砲をぶちかます。 「かわいい!キレイ!ツヤツヤ!」 ちょっと、そんな、言いすぎよ、 それ褒めすぎじゃ……えぇ?そーお?そーかしら? そんなにツヤツヤかしら? 確かに毛皮のお手入れは頑張ってる方だと思うけど、でも、やっ、言いすぎよ、えぇ?ホントにそう思う? 褒め殺しにあうとはこういう事を言うのだろう(もう死んでるけど)。 どうしよう、いい気分になってきたわ。 さらに男は言った。 「シロネコちゃんはこの神社の護り神なのかな?気品があるし神々しいねぇ」 ちょーーーーーーーーーーーーーっ!! 護り神って!! 気品って!! と、舞い上がってしまった私はついうっかり神様仏様繋がりで、昔テレビで見た『奈良京都・大仏スペシャル』という番組の大仏様のポーズをとってしまった。 本来の私は調子に乗りやすいタイプなのだ。 途端に場が静まり返った。 男は目を見開いたり、口を尖らせたりと大忙しで表情を変えながら考え込んでいる。 そして時たま私を見ては首を傾げていた。 まずい。 私、猫なのに人語を理解できるってばれてしまったかもしれない。 さすがにそれは気持ち悪いって思われてしまう。 人の子が求める猫象とは、『かわいくてツンデレ』ってトコでしょう? それが人語も文化も理解できますってばれたらドン引きされる。 と、とりあえず、ここは猫らしく毛繕いでもして……。
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