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◆
「キミはこの世の猫じゃなかったんだね」
肯定だ。
なのに、ちっとも驚かないのだな。
私は男の手のひらに自分の頭を擦りつけて、自分のものであるというマーキングをした。
「もしかして本当にこの神社の護り神なのかなぁ」
ちがうよ。
そんなわけないだろう?
そんな事より、私、けっこうおまえが好き。
素直にそう思えたとたん、しっぽがブルブルと震えだす。
「や!ウソ!しっぽが震えてる!これって『オマエ大好き!』って意味だよね!嬉しいなぁ、僕を好きになってくれたのか!僕もキミが大好き…………あれ?」
あれ?と首を傾げて、私のしっぽの先を凝視して……なんだかよくわからんが、興奮気味に騒いでいる。
1人で盛り上がってズルイぞ。
「キミはこの神社の神様なの?」
ニャニャニャニャ!
わたしはブンブンと顔を横に振った。
さっきのは冗談じゃなかったのか!
そんな訳ないだろう、私はただの猫だよ。
「じゃあ、ここに住んでるの?」
ニャニャ……?
いや、まだ現世着いたばかりだし。
「じゃあ……キミは誰か家族とか仲間がいて、決まった帰る場所が……あるの?」
ニャァ……
思い出させないでぇ……
お姉ちゃんに忘れられ、可愛がってたネズミっ子もいなくなっちゃったんだから……
私は力なく顔を横に振った。
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