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「大福、おいで。ここが僕の勤めている会社だよ。もしかしたら……ダメって言われるかもしれないけど、大福が中で待ってていいか社長に聞いてみるからね。もしもダメだったら……お庭で待っててくれる?」
なぁん
大福は、目を細めて頷いてくれた。
か、かわいい。
どうか社長の許可がおりますように。
正面玄関のガラス扉を開けた。
僕は一歩中に入ると、扉を押さえて大福が入るのを待つ。
大福にしてみたら物理的な扉などすり抜け上等なのだが、これは僕がしてあげたいのだ。
だが、
大福の美脚が一歩建物内に入ったその時、
バチバチィッ!!!
ニ゛ギャッ!!
雷のような電気音がした!と思った時には既に遅かった。
体の小さな大福は、中に入ることなく弾けるように外に飛ばされてしまったのだ。
扉から2m程先、敷地内コンクリの上でグッタリと横たわる猫又の姿に僕は絶叫した。
「大福ーーーっ!!」
駆け寄って抱きかかえると、薄目の大福と一瞬目があったものの、そのままガクっと気を失ってしまった……!
「大福! しっかりして! 目を開けて! そうだ病院! 病院に行かなくちゃ! ああでもお医者さんに大福は視えないよ! どうしよう! どうしよう!」
僕が泣きながら大福をギュッと抱き、右往左往していると背後から声が聞こえてきた。
「モーニン、エイミー。てかなに? 休み明けの朝からテンション高っけーなー」
そこにいたのは黒地に金ラメの線が入ったジャージ上下姿の社長だった。
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