第九章 霊媒師 弥生ー1

4/20
前へ
/2550ページ
次へ
◆ 「ばっかだなぁ、エイミー。休みボケで忘れたのか? 会社には結界が張ってあるって言ったじゃん」 ……言ってた。 「その猫、死んでんだろ? 幽霊猫なんだろ? 生きてねぇんだろ?」 ……うん、そう。 「じゃあ、結界に弾かれるわな。ここに入れるのは生者だけ。ま、例外でジジィだけは入れるけどよ、それ以外の死者は人も動物も入れねぇよ。しかもちょうど今、結界の為の電流補充したとこだからな、強力なのが張られてるぜ?」 ……そうでした、忘れてました。 ……大福、ごめんよ、痛かったかい? 目を開けて、、、 ……馬鹿な下僕でごめんね、、、 「うわぁぁぁん!! 大福ぅぅぅ!! ごめんよぉぉぉ!! 死なないでぇぇぇ!!」 「いや、死んでるだろ」 「うわぁぁぁん!! えっぐ……えっぐ……そりゃ死んでるけど……死んでるけど……だけど、こんなん僕のせいだ……大福ぅぅぅ! 死なないでぇぇぇ!!」 「ばっ、ちょ! 待て !落ち着けって! 大丈夫だから! 死んでるけど、死んでねぇから!」 「……」 「あ、泣きやんだ」 「死んでないって本当ですか?」 「ああ、死んでるけど、死んでねぇ、って、ややこしいな」 「じゃあ、目を覚ますんですね? いつ? 何分後?」 「”何分後”ってメンドクセ……いや、なんでもねぇ。てか、おまえ、猫好きだとは聞いてたが、猫絡むと人変わるな。何分後かはわかんねぇけど、そのうち目覚めるって。心配すんな」 「そのうちって……いつなのぉぉぉ!? 心配なんですけどぉぉぉ!!」
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加