第九章 霊媒師 弥生ー2

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「社長! 質問があります!」 運転席で忙しくギアチェンジをするスキンヘッドは真っ直ぐ前を見たまま嬉しそうにこう言った。 「お、ようやく学ぶ気になったか」 ようやく学ぶ気に? なんてこった……! 社長は僕が自主的にお祓いの質問をするのを待っていたのだ。 なんだか僕は恥ずかしい。 弱気な事ばかり考えて、大先輩である弥生さんが悪霊のみなさんを怒らせたら、事がややこしくなると、そんな心配ばかりしていた。 こうやって質問する気になったのも、大福を守りたい一心な訳だし。 だけど理由はどうあれ、頑張りたい気持ちに偽りはない。 「エイミー、コツが知りたいんだろう?」 そんな僕の1人反省会を遮って、先手を打って導いてくれる。 社長はやっぱりスゴイ人だ。 「いいか、まずはコレを聞け」 言いながら素早い動作でギアチェンジをする。 ガッ! ガッ! とギアレバーが音を上げ、同時にエンジンが唸る。 ブォン! グオォォォォォォォォンッ!! 「な、このエンジン音。これを聞けば、(こいつ)の言いたい事がわかるだろ?」
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