第九章 霊媒師 弥生ー2

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ガッ! グオォォォォォォォォンッ!! 「な! これがエンジンブレーキだ。シフトダウンだけで減速したろ? 峠道だしフットブレーキばっかりだと摩耗熱でそのうち利きが悪くなる。なによりこうやってエンブレきかすと、(コイツ)が良い声で鳴くんだよ」 エンブレ……? 摩耗熱……? えっと……これって、もしかして、お祓いと関係なくない? 「あれ? エイミーなに黙ってんの? わかりにくかったか? もう一回やるか? 何度でもいいぜ?」 と、嬉々として次のカーブにそなえる社長。 僕は慌ててこう言った。 「や! ちょっとすみません! 一度整理させてもらっていいですかね?」 「おう! なんだ?」 「あの、これって廃病院でのお祓いと、なんか関連性があるんですか?」 「お祓いと? いや? なに言ってんの? あるわけねぇだろ。え? つか、おまえ、俺に質問って車の事じゃないの?」 「や……ちがいます」 「じゃあ、なに、もしかして仕事の話だったのか?」 「はい、まぁ、そうです」 「えぇ!? マジか! てっきり車の事かと思ってた!」 本気でビックリ! みたいな顔の社長は、それでもまだ一方的に車の話を続けている。 あぁ、そういえば。 前に先代が言ってたな。 ____大体清水君は車の話になると長いんだよ、 ____先月だっけ? ____せっかく女の子とドライブに行ったのに、 ____ずーーーーーーっと車自慢しちゃって、 ____それ以降連絡取れなくなっちゃったのは、 って。 これかー! こりゃ確かに女の子は戸惑うわー! てか、僕も充分戸惑ってますしー! 一度火がつくと止まらない、社長の車トークはそれから延々、現場に着くまで終わらなかった。
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