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そんな僕らを見て社長は盛大に舌打ちをしながらこう言った。
「おまえら勝手な事ばっかり言ってんじゃねぇぞ! もっと真面目にやれ! いいか! よく聞け! まずジジィはこの病院の外で待機! 肝試しの若いヤツらが新たに来たら、適当に脅かして建物内に入らないように追い返せ。いっぺんに複数来たとしてもジジィなら分身すれば対応可能だろ? それになんかあったらすぐに俺らに連絡取れるしよ」
あっ、アレだ。
先代の得意技、脳内に直接話しかけてくる無線みたいな連絡方法だ。
「それから弥生とエイミーは俺と一緒に建物内に入る。だが場面に応じて別行動になるかもしれんから必ずスマホ持ってくように。それと悪霊達の情報なんだが、元看護師の霊が複数で性別は男女混合。日によって人数にばらつきがあるらしい。今夜何人いるかは現時点では不明。まあ、でもこいつらは適当に流せばいい。問題はここのラスボスの元医院長の霊だ。コイツは男で60代から70代くらいの爺さんだ。爺さんと言っても動きは機敏、臓器を狙って襲ってくるから気を付けろ。油断してると腹を裂かれるからな」
ひ……!
お腹裂かれたくない……!
「それと悪霊どもに遭遇しても、いきなり滅さない事。ダメ元で成仏の意志があるか確認を取ってくれ。できれば穏便に成仏してもらいたい。だが、もしもだ。こっちの言う事に聞く耳を持たず、生者に害を成すようなら……その時は、跡形もなく薙ぎ祓え!」
ゾク……ッ
跡形もなく薙ぎ祓え____その言葉を聞いた途端、僕の背中に冷たい汗が流れた。
いつもふざけてばかりの社長の眼が、本気だった。
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