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「弥生! こいつら安全な場所に移動させろ! 腰抜かしてるみてぇだから、尻でも蹴とばして起こしてやれ!」
ちょっと、尻でも蹴とばしてって……弥生さんは女性なんだからそんな事、、、
「ぎゃははははははは!! なぁに? あんたら幽霊見て怖くて腰抜かしちゃったの? ぎゃははははははは! 子供だねぇ! チキンだねぇ! もしかして漏らしちゃってんじゃないの? えぇ? 漏らしてはない? あっそう。じゃあ、遠慮なくケツ蹴っ飛ばせるわね! 漏らしてたら、アタシの靴が汚れちゃうもん! あひゃひゃひゃひゃ!」
僕のいらない心配をよそに、下品なワードを撒き散らしながら、弥生さんは3人の若者のお尻を順番に蹴り始めた。
「イッテ!」
「ひ、ひどい!」
「あふぅ! お姉様! ありがとうございますぅ」
最後の1人だけ反応がおかしいような気がしたが、とりあえず立ち上がる事ができた3人は、弥生さん誘導のもと安全な場所へと移動する。
部屋を出る時、彼女はチラリと振り返り、なにか言いたそうにしてたのだが、結局何も言わずに行ってしまった。
さすがに空気を読んでくれたのだろう。
残された僕と社長の前には、血まみれの看護師の霊がおどろおどろしい目をして、若者達の背中を凝視している。
若者達を連れ一旦ここを離れる弥生さんは、残された僕らを思って、いつもなら口をついて出てしまう「全身黒タイツ野郎」発言を控えてくれたのだ。
そんな事言ったら火に油だもんね。
弥生さん!お気遣いありがとうございます!
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