第九章 霊媒師 弥生ー2

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に、しても…… 今、目の前にいるこの霊なんだけど……額から、こめかみから、目から、耳から、血がダクダクに出まくってて、12ラウンドフルに打ち合ったボクサーよりも血塗れな状態なんですが、一体生前なにがあったんだろう? 年の頃は、50代後半から60代くらい、、、かな? 女性の看護師さんで、ナースキャップの下はまだらなごま塩ヘアを低い位置でお団子に結っている。(少々乱れて、髪がバラバラ落ちているけど) 縦に小柄で横にふくよかな、そのスタイルは典型的なオバチャン体型。 ワンピース型の医療白衣を着ているのだが、おなかの部分はポンポンのパンパンで、わがままボディの小動物感が否めない。 僕は失礼にならないように気を付けながら、改めてこの霊の顔を見た。 たれた細い目(血はダクダクだけど)、その横の笑いジワ、低くて小さい鼻、丸い輪郭。 ……あれ? ちょっと待って、冷静によく見ると、なんだか人の良さそうな顔してない? 派手な血の装飾とこの暗がりで、パッと見怖い感じがしてたけど、今こうして社長のビッカビカのLEDで照らされてると……もはや、ハロウィンで子供と浮かれて、幽霊コスプレやりすぎちゃったお母さん、みたいに見える。 あ! もしかして、本当にコスプレ好きな生者だったりして! 今夜はノリで幽霊コスで廃病院まで来ちゃいました的な!……んな、訳ないか。 とは思いつつ、僕は念のためにお母さんに向かって放電してみる……と、赤い電流は僕とお母さんの両間を結んだ。 って、あぁ、そりゃそうか、違うよね、やっぱりちゃんとした幽霊だったよ。 人が良さそうな顔してるからとか、丸っこくて小動物感があるからとか、そんなの関係ないっちゃーないよなー。 どんな見た目の人だって、悪霊や地縛霊になる可能性は0じゃあない。 現に、さっきの若者3人組を襲っていたのもこの方じゃないか。 なんだけど、なにか、なにか変な感じがするのは僕の考えすぎなのだろうか……?
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