第九章 霊媒師 弥生ー2

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「いやぁぁぁぁぁぁ!! って、社長! なにするんですか!!」 「いや、オマエずっと霊ばっか視てるからさ。声掛けるより突っついた方が確実かなって。そんなことより、あのオバチャン。なんかキャラ変わった? 恨めしかったんじゃねぇの? いきなりニタァって笑いだしてよ、思いだし笑いか?」 と、一応霊に気を使っているのか、コソコソと小声で耳打ちされた。 「……てか、社長。なんていうか、その、あの笑い方は思い出し笑いとかそんなんじゃないと思いますよ? どっちかっていうと、悪霊として『ここからが本番です』っていう不敵な笑みだと思いますが。というか気になるトコってそこですか?もっとあるでしょ? ほら! 良く見て! 霊の目! ぐるんぐるん回ってるでしょ? 生者の動きじゃないでしょ? あれ視て、怖ッ! とか、気持ち悪ッ! とか、なんかないんですか?」 「あぁ? 目ぇ? ん?……あぁ!!」 「遅っ!」 「あはははは! ワリィ、ワリィ、ぜんぜん気が付かなかった!」 そうガハガハと笑う社長はさらに、 「ホラ、あのオバチャン、目ぇ小せぇじゃん? あの極小面積内でなんかしてても誰もわからねぇんじゃねぇの? この中暗いし。つか、エイミーよく気付いたな!」 ああ、ちょっと!社長! 今の発言こそ気を使って小声でしゃべってください。 幽霊とはいえ女性の容姿に対してその言い方は失礼だし、今の時代セクハラで訴えられます。 焦った僕は、チラリと霊を視た。 怖いとか気持ち悪いとか言ってる場合じゃない。 下手したら訴えられる内容だ。 幽霊だから訴えられない? いやいや、そういう問題じゃないぞ。
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