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『言霊? 岡村君、言霊教えてもらったの? どんな言葉を選んだんだい?』
と、先代は興味津々。
「はぁ、教えてもらったというよりも、騙されたというべきか……言霊は、えっと、なんだったかなぁ? ははは、忘れちゃいました」
僕は、あのふざけた言霊をここで口にするのが恥ずかしくて口籠る。
『騙された? ああ、また清水君にからかわれちゃったのかな?』
「ま、まぁ、そんなところです。でも、結果的には社長のおかげで放電できるようになりました。そこは感謝です」
これは事実だ。
チラリと横を向けば社長が得意気に頷いている。
先代は僕と社長を交互に見てからこう言った。
『清水君はねぇ、“仕事はできるが行動に難あり”だからねぇ。でも人は悪くないんだよ? 岡村君も戸惑う事があるかもしれないけど、仲良くしてあげてね』
あぁ、やっぱり社長は“難あり”な人なんだ。
この一週間で僕もそう思ってましたけど、社内評価も同様なんだな。
なんか、納得。
に、しても、眉を八の字にして笑う先代は、もはや社長のお父さんみたいだ。
そんな親心にまったく気付いていない社長といえば、
「先代、心配ないですよ! 俺とエイミーはすっげー仲良くやってますから! こないだなんて一緒に駅前のカフェに行って、って、あー! 先代にカフェなんて言ってもわからないか! なんて言うのかなぁ、まあ、うまいメシ屋? ちょっと量が足りないけど2人前頼めば何とかなるし。なんなら今日の昼にでも一緒に行きますか!」
こないだまで男がカフェに行くのが恥ずかしいと言っていたのはどこの誰ですか?
予想通りカフェに行った事がないという先代は「若い子が行くお店なの?」 と、行く気満々のようで刺身定食を頼むんだとニコニコしている__あれ? なにこの既視感、先日はカフェに牛丼が無い事を説明したような……とにかく先代、カフェにそんな渋いメニューは無いと思います。
「あのー、大変申し上げにくいのですが刺身定食は無いと思います。でも他にたくさんおいしいものがありますから。あ、でも、良く考えたら先代は幽霊だから行ってもごはんは食べられないんじゃないですか?____あっ……!」
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