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とっ散らかった感がハンパない、目の前のこの状況。
疑似生首や天井逆さ吊り、皮膚と骨のハーフ&ハーフの顔面さん、アレルギー有無の確認を怠らない注射担当、完成度の高いヒュゥドロバックシンガーの皆さん。
これらすべて、100歩……いや、500歩くらい譲れば、「間違ってたらすみません。もしかして、その、僕らを脅かそうと、、、してます?」と思えなくもない。
院長からのヘンな前置きがなく、暗がりの廃病院でこの霊達がいきなり出てきたら、ちょっと怖いかもしれないもの。
でもさぁ、
『ポゥ!! カモッ!! ヘィ!! メーンッ!! カモッ!! イヤァッ!!』
額からボタボタと汗を落し、僕らに向かって差し出した手の指を、誘うように滑らかに折り曲げる多汗ぽっちゃり系ポールダンサーの霊は、“脅かす”という方向性から極端に逸脱し完全に1人暴走している。
確かにこんなん暗がりから出てきたら、ある意味怖いかもしれないけど。
にしてもだ。
ダンスミュージック無しで踊っているのに、キレッキレでパッション溢れるそのダンスは素人目に見ても上手い。
けど、だからってどうしろと?
霊は、ロングなポール(点滴スタンドだけど)を股に挟み、太ももの筋肉だけで巨体を支え、逆さになってクルンクルン回転しながら降下する。
その間も霊は僕と社長を交互に凝視。
その表情は実に挑発的で官能的で、
『ヘイ、メーン!(クルクルクルクル!)カマンッ!!』
と、僕らを煽る。
いや、待って、カマンッ! って言われても……
ねぇ、社長、困っちゃいますよねぇ?
霊のパッションを受け止めきれない僕は、隣の社長に助けを求めるように視線を移す……って、オィィィィ!!
このツルッパゲ血迷うたかぁぁぁっ!?
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