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感動した。
社長のブレイキンと霊のポールダンスは、間違いなくエンターテイメントだった。
バトルが始まって最初は戸惑ったものの、ギャラリー(僕と、院長とその仲間達)は、ダンサー2人の熱いパッションに呑まれ魅せられ夢中になった。
勝敗は僅差で社長だった。
瓦礫やガラスの欠片が散らばる廃屋で、ブレイキンの大技であるウィンドミル(床でクルクル回るヤツね)をやりきったダンス魂が評価されたのだ。
おかげで社長は擦り傷だらけ。
それでもブランクのあるダンスで、バトルに勝ったのが嬉しかったのか良い顔で笑っていた。
「タカシ! おまえのおかげで、もう一度踊ることができた、礼を言うぜ!」
ポールダンスの霊はタカシさんって名前らしい。
すっかり社長と仲良くなっている。
とりあえずストリートダンサーだった頃の話は、この現場が終わったら改めて聞いてみようと思う。
『生死の垣根を越えた2人の試合、とても素晴らしかったですよ!』
おおきな拍手をしながら声を上げたのは満面の笑みの院長だ。
興奮冷めやらぬ院長はさらに続けてこう言った。
『それで、清水さんエイミーさん。これでご理解いただけましたか?“襲う”と“脅かす”の違いが!』
えっ? えぇ!? と、スミマセン、
今のダンスバトルでわかる人はいないと思います!
『仕方ないですねぇ。それでは順を追ってご説明いたしましょう。いいですか?まず私達はシフト勤務を導入しています』
「「シフト勤務?」」
今夜は社長とよくハモる。
だけど、そりゃ聞き返したくもなるだろう?
だって幽霊軍団がシフト勤務って、なんのこっちゃってなるじゃない。
『そう、シフト組んで交代制にしてるんです。ここに集まってきた看護師達はなにも毎日、一日中ここにいる訳じゃありません。日勤と夜勤に分けています。日勤者は肝試しの若者が来ない昼間のうちに建物内を点検します。危険な場所はないか? 新たに崩れた場所はないか? 徹底的に現場を調査します。私達は現調班と呼んでいますがね』
「現調班……」
『その現調班は点検終了後、私に結果報告をしてその日の勤務は完了、あとは夜勤に引きとなります』
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