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◆
「じゃあ、そろそろ逝くか」
社長の声に院長と幽霊軍団のみなさんが笑顔で頷いた。
いよいよだ。
世間では悪霊と称された、本当は強くて優しい霊達がいよいよ成仏する。
僕はそわそわしながら360度、まわりを見渡した。
どこだ?どこから来る?
この世とあの世を結ぶ光る道。
成仏するにあたり、きっとまた眩い光を放ちながらここまで道が来るはずだ。
院長と幽霊軍団、総勢15人。
今回15人分の道がそれぞれくるのか、それともみなさんが並んで歩けるくらいの太い道が1本でくるのか、もしそうなら圧巻だろうなぁ!
……
…………
あれ?
なんかぜんぜん来る気配がないぞ。
まだ薄暗い夜明け前、遠くからでも光る道が来るならすぐにわかりそうなものなんだけど。
「どうした?エイミー、キョロキョロしちゃって」
相変わらずLEDは消えたままのヘッドライトを頭につけた社長が、バンドの横に固定してあるインカムを自身の口元に下ろしながら僕を見た。
「いや、あの、みなさん成仏するって決めたんですよね?だから光る道が来るのを待ってたんです。先週、田所さんやユリちゃんのお爺さんとお婆ちゃんが成仏する時に迎えの道が来たでしょう? 今回も来るんだろうなぁと思って」
「ああ、そういうことか。光る道な、アレが来てくれれば話は早いんだけど、今回は来ないだろうな」
言いながら社長はインカムをカチカチいじっている。
「ええ! じゃあ、どうやって向こうに逝くんですか!? というか、なんで今回は来ないんですか?」
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