第九章 霊媒師 弥生ー2

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そう言って恥ずかしそうに『今のナシ!』と首を振る男性看護師の顔を、弥生さんはニヤニヤしながら覗き込む。 「なんだぁ? その他野郎共もなにか言ってほしいのか? そうなんだな? よし、わかった! まかせろ! いいかよく聞け! 女の年は申告制。なら野郎は? 野郎のサイz」 「それ言っちゃダメなやつぅぅぅ!!」 大先輩である弥生さんだけど、僕は彼女がナニを言わんとしたかを察し、寸前でその口を塞がせていただいた。 ダメだろ、それ完全に言っちゃダメなやつだろ! 「くっ! 離してエイミーちゃん!」 にゅるんと猫の仔のように僕から逃れた弥生さんは、30代看護師さんに向かって「言っちゃダメだってさ」と口を尖らせている。 『あ、あの、僕もそれ言ったらダメだと思います……』 「ん? んんん?  なによ?あんた顔真っ赤じゃない! ってことはアタシがなにを言おうとしたかわかったんだ! あひゃひゃひゃひゃ! いいんだよ? 申告制だもの! アンタのはマグナムか? マグナムなのか?」 黙っていれば美人だろうに、弥生さんは下品に笑いながら男性看護師をからかっている。 ちょっと、弥生さん!彼、困ってるじゃないですか!いいかげんに____ 『……です』 ん?なにか言った? 「なに?よく聞こえないけど?」 『……チャーです』 「ちゃー?」 『ですから、マグナムなんてもんじゃありません。グレネードランチャーです! ああ! 申告制とはいえこんなこと言っちゃって僕ったら……!』 マジ……か。 「ブハッ! マジで? そうなんだ! グレネードランチャーなんだ! アンタけっこう言うじゃない! いろいろと見直したわ!」 女王様の見直した発言と、それを言わせたグレネードランチャーに、数瞬の間を置いて室内は大きな笑いに包まれた。 男性陣はともかく女性陣は引くかなと思ったけど……さすが手練れの女性達。 それしきの下ネタで怯む(ひと)は誰ひとりいなかった(良かったー!)。
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