第九章 霊媒師 弥生ー2

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◆ なんのかんのと詳しく言えないようなネタを織り交ぜつつ、ひーひーお腹を抱えて笑い転げる院長と幽霊軍団のみなさんの中心で喋り倒す弥生さん。 空がうっすらと白くなってきたところでようやく、 「あ、ヤベ! 夜が明けてきちゃったじゃん! そろそろ仕事しないと残業になっちゃう! ってもう超過勤務の真っ最中か! さ、みんな!これから光る道呼んであげるからサクサク成仏してちょうだい!」 まるで閉店間際の飲み屋さんで「タクシー呼んであげるから帰えりなさいよ!」的なノリである。 それでも霊のみなさん、素直に『は~い』と声を揃えて答えていた。 『いやー、宴会も楽しかったけど、弥生さんのは二次会みたいで楽しかったねぇ』 なんて声もチラホラ。 「さてと。みんなここに集まってー! 15人全員いる? アタシと離れたくないから成仏しないとか言わないでよ? よーし、じゃあ仕事すっかぁ! 今日は団体様だからね。チマチマ15本の道呼んでたら時間ばっかりかかっちゃうからさ。15人が並んで歩けるようなデッカイの呼んじゃうよ!」 そう言って弥生さんは、院長の机の上に置いていた自分のリュックを開け、中から一升瓶を取り出した。 ラベルには荒々しい文字で“鬼殺し・日本酒”の文字が印刷されている。 彼女はシュポンと蓋を開け、両手で持って豪快にラッパ飲みを始めた。 一気に半分程飲んだところで手の甲で口を拭い、残り半分は幽霊軍団のみなさんに振りかけた。 そして、 「お飲みなさい!」 弥生さんのこの一言の直後、日本酒の味が口いっぱいに広がったであろう幽霊軍団から大きな歓声が上がる。 それはまるでこれから三次会に行くぞー!的な盛り上がりだった。
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