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「元スタッフでなければ、今はなんなの?」
『……厚かましいのは百も承知だけども、私はみんなことを家族だと思っているんだ。ここ旧大澤病院は……大澤家だと思っている』
院長の消え入りそうな“大澤家”という言葉に、幽霊軍団は涙腺決壊。
タカシさんなんて『お父さーんっ!』なんて叫びながら回ってる(もちろんポールを)。
「ああ! もう! 泣いたら酒がまずくなる! でもいいや! 今は泣け! みんな長い間よく頑張った! アタシ達生者を救ってくれてありがとう! 向こうに逝ったらまずはゆっくりしてよ! でもってまた絶対生まれ変わってきてちょうだい! さあ! もっともっと、お飲みなさい! アタシはもう少し仕事するから!」
大澤家、みんなで団子になって泣き笑いしている横で、弥生さんは目を閉ると、スッと両手を高く天にかざした。
そして大きく息を吸い込むと、
「告げる!
ここにいる大澤家総勢15名!生前もそのあとも長きにわたって多くの命を、多くの心を救ってきた!
なんの見返りも求めず、悪霊と言う汚名を被り、自分を信じ、互いを信じ、生者の未来を信じ、真っ直ぐに“人を助ける”という信念を貫いてきた!
だがそれも今日で終わる!
廃病院の取り壊しと共に大澤家の大役も終幕するからだ!
望む!
この情と愛に満ちた大澤家に溢れる光を!
黄泉の国へ続く優しい光を!
15名が手を取り合って進むことのできるクソデカイ光の道をここに!」
しゃがれた力強い声がビリビリと僕の鼓膜を揺さぶった。
天にかざした手のひらに朝の光が反射する……え……手に光が反射?
いや待て!
あれはまるで鏡に反射したような跳ね返りだ!
光が人の肌にあんなふうに反射するなんてことはありえない!
僕は目をこらしてなにがどうなっているのか見ようとした。
が、さらに強まる光にそれ以上の目を開けていることはできなかった。
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