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再び目を開けた時、そこはまるで光のあたる水底のようだった。
見上げた天井は金色に輝き、砕かれた宝石が散りばめられたようにキラキラと揺れている。
やがてその光は、雪のようにゆっくりと天井から降りだして、床に散らばった瓦礫に積もり、すべてを覆いなだらかに姿を変えた。
床一面が光でいっぱいになると今度は、金色の雪が弥生さんの指先でクルクルと小さな円を描き始めた。
弥生さんは立てた人差し指を回転させて、宙を舞う雪と宝石を絡めると勢いをつけて右方向へ風を切った。
途端、ひび割れた壁が金色に彩られる。
弥生さんは同じ動作を今度は左、そして右と、何度も繰り返し、崩れかけた院長室に光のリフォームを施して輝く豪奢な部屋へと変えてしまった。
『キレイ……』
『ねぇ、さわってみてよ、床も壁も柔らかいんだよ……』
『なんか……あったかいし』
『いいにおいもしますねぇ……』
『ポールも光ってる……』
光る部屋をうっとりと堪能する大澤家のみなさんに僕も同意見。
天井も床も壁も全方向キラキラしてキレイだし、なにより明け方で肌寒かったのがホカホカと暖かい。
おまけにお花の匂い?
ほんのりと甘い香りが漂ってくる。
ここ居心地良いなぁ……なんだか眠くなってきちゃう。
「さぁて、そろそろ仕上げだな」
弥生さんはそういうと、惚ける僕らに背を向けて前に立った。
そして本来窓のあった方向に向かって、再び両手を高くかざし、まるでなにかを受け止めるかのように左右に開いた。
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