第九章 霊媒師 弥生ー2

63/72
前へ
/2550ページ
次へ
「告げる! こちらの用意はできた! 光る道を進むべく大澤家全員を光で包み、清めの酒で現世の汚れも取り去った! あとは1人も離れることなく、揃って進める道を待つ! 望む! 大澤家の成した善行にふさわしい光の道をここに、」 ゴォッ!! 突如窓が開いた。 否、違う。 割れた窓を覆っていた光の壁が、外からの突風に突き破られたのだ。 その風を両手のひらで受け止めた弥生さんは、2mほど後方に吹き飛んだが、幸い僕にぶつかってケガはない。 良かった……最後の最後でこの病院内で怪我人が出たら、大澤家のみなさんめっちゃ悔い残しちゃうもの。 「ごめ! エイミーちゃん大丈夫!? まだアタシが喋ってる途中だってのに道寄越しやがってクソッタレ! でも開通成功! アタシすごい! ミッションクリア! いつもサンキュ!」 弥生さんはガンガンに悪態をついたあとガンガンに自画自賛し、僕を踏みつけながら起き上がった。 すごい……こんなにナチュラルに人を踏んで違和感のない人って初めて見た。 それ以上にもっとすごいのが、これ……光る道、だよね? 先週見た田所さん達を連れて行った道とぜんぜん違う。 光る院長室から窓を抜け、天に向かって延々と伸びるそれは、車道でいうなら三車線はありそうな道幅だ。 これなら大澤家総勢15人が横に並んで歩いても余裕だろう。 「みんな見て! この道を真っ直ぐ進んで行けば黄泉の国に到着よ! お待たせしたわね! さあ! 成仏のお時間です!」
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加