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「うん。師長の姿視た時、アタシにも血塗れの白衣着てるって認識できたからさ。それで、なぁんだこの霊、悪霊じゃないじゃんってわかったの」
「ん? どういうことですか? 白衣着てるのは視ればわかりますよね?」
「あらエイミーちゃん忘れちゃった? アタシの目に映る幽霊に色は無いって、すべて白黒に視えるって言ったでしょう?」
「はい、言ってました、」
「それと、幽霊自身の怨み辛みの念が強いほど黒い靄がかかるとも。悪霊化した霊は白いところがほとんどないから、全身真っ黒に視えるって言ったじゃない」
「あ……! そうだ! 言ってました! それでそんな霊を夜中に視ると、深夜のテンションで『全身タイツ野郎!』って指差して笑っちゃうとも!」
「だけどアタシ、笑わなかったでしょう?」
「笑わなかったです! そっかぁ……僕はてっきり、後に残された僕達の為に霊を怒らせるようなことを言わないでいてくれたのかなって思ったけど……」
「あははははっ! んな訳ないじゃーん! どんな時でも笑いたきゃ笑うわよ! ただ、彼女があえて悪霊のふりしてるのは訳ありなんだろうなって思ってさ、それで黙ってただけ。てか、エイミーちゃんはともかく誠は気付けよ!」
バシッと背中を叩かれた社長は、へへへと笑ってごまかしている。
そうだったんだ。
弥生さんは最初からわかっていたんだな。
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