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むしろ喜ぶ、確かに……あの人達ならそうかもしれないな。
「……そっか、わかりました。確かにそのほうがいいかもしれないです。弥生さん、僕……困らせるようなこと言ってごめんなさい」
「いいよ、いいよ。そんなことよりさ! アタシおなかすいちゃった! 帰りにみんなでゴハン食べに行こうよ!」
「お、そうだな! 俺も腹減った! T市役所への報告は後にして、とりあえずメシ食いに行くか! ジジィも大福も一緒によ! この時間だとファミレスくらいしか開いてねぇだろうから、車で走って最初に見つけた店に入ろうぜ!」
メーシ! メーシ! と騒ぐ2人のあとを、先代と僕と大福とで追いかける。
若者3人が瓦礫を片付けただけあって、辺りはだいぶスッキリとキレイになっていた。
僕は最後に廃病院を振り返った。
今ではもう誰もいないこの建物は近いうちに取り壊さる。
今度はどんな姿に生まれ変わるのだろうか?
「エイミー!置いてくぞー!」
エンジンをかけた社長が、窓から身を乗り出して僕を呼んでいる。
「あっ! ちょっとー! 待ってくださーい!置いてかないでー!」
……
…………
………………
僕達は知っている。
ネットで騒がれた悪名高い幽霊達の正体を。
僕達だけが知っている。
本当は強くて優しい幽霊達のことを。
大澤家のみなさん、
ながいあいだ本当におつかれさまでした。
どうぞ安らかに……とは言いません。
どうぞみなさんらしく賑やかに、極楽浄土を楽しんでくださいね。
またいつか会う日まで。
霊媒師―弥生____了
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