第十章 霊媒師事務所の新入社員

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◆ プルルルル ユリちゃんと先代を待つこと10分弱。 事務所内のビジネスホン、それの内線呼び出しが鳴った。 僕がワンコールで受話器を取ると、 『お、おはようございます!藤田ユリです!今、先代とドアの前にいます!』 と、緊張したユリちゃんの声が聞こえてきた。 「おはようございます、岡村です。鍵はかかってないから、そのまま入ってきてくれる?」 『は、はい!』 コンコン 「し、失礼します」 小さなノックの音がしてドアが開くと____まぶしっ!! そこには社長の面白グッズコレクションの1つ、探検隊仕様のLEDヘッドライト(通話機能付き)を、モロに見てしまった時以上の眩しさを放つ、ユリちゃんの姿があった。 フレッシャーズ。 学校を卒業して新社会人になった、夢と希望に輝く若者。 先月高校を卒業したばかりのユリちゃんも、当然フレッシャーズだ。 彼女は先週会った時のパーカーにジーンズというラフな格好とは一変し、真新しい紺のジャケットとスカートにピカピカの靴を履いてカチコチになっている。 初々しさと清潔感がこれでもかと溢れ出て、社会に出て8年超の擦り切れた中年には……もう本当に眩しいばかりだった。 「おっ、ユリよく来たな!なんだおまえ、ピッカピカのスーツじゃねぇか。わざわざ買ったのか?」 出迎えた社長もユリちゃんのスーツ姿に目を丸くしている。 「はい!昨日、岡村さんから連絡もらって、それからすぐに買いに行きました!私、リクルートスーツなんて持ってなかったから、どんなのがいいかわからなくてお店の人に相談したんです……あの、変ですか?」 「いや、そんなことはない。すごく似合ってるぞ。真さんが見たら感動して号泣だな」
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