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「ありがとうございます!あ、それとこれ……履歴書です」
あ、いけね。
ウチの会社は先代が霊視するから履歴書不要だって言うの忘れてた。
「履歴書書いてきてくれたのか、悪いな。じゃ、せっかくだから、」
社長はそう言ってさっそく履歴書を読み始めた。
その間に僕はユリちゃんに椅子を勧め、お茶とお菓子を出した。
お菓子は弥生さんイチオシで先代の大好物、芋饅頭である。
もちろん饅頭を目にした先代はテンションマックス。
僕は早々に「芋饅頭、召し上がれ」と声を掛け、先にご堪能いただいた。(早くしないと悪霊化しちゃうでしょ)
そしてユリちゃんに会いたがっていた弥生さんは、残念ながら今日から新規依頼の現場入りで不在だ。
「岡村さん、岡村さん、」
ユリちゃんの小さな声が僕を呼ぶ。
「どうしたの?そんな小さな声で」
「あの、私、大丈夫でしょうか?」
「ダイジョウブってなにが?スーツならすごく似合ってるよ!お母さん達にも見せてあげたかったねぇ」
「あ、ありがとうございます。でも、違くて、スーツじゃなくて、」
「ん?じゃあ、なぁに?」
「私……高校は普通科だったんです。事務に強いような資格はなにも持ってません。面接……入社試験受かるでしょうか?」
「ニュウシャシケン?って、ユリちゃん、もしかして今日試験だと思ってたの?」
「……違うんですか?」
「うん、今日は入社手続きのための面談だよ。今までの事務員さんってね、幽霊恐いってすぐに辞めてしまってたんだって。だから幽霊にアレルギーのなさそうなユリちゃんならどうかって話した段階で、社長の中では採用決定だったみたい」
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