第十章 霊媒師事務所の新入社員

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チェーンソー!? ______岡村ぁぁぁぁぁぁっ!!(ギュインギュインギュイィィンッ!!) ____ユリに掠り傷ひとつでもつけてみろっ!!(ギュギュギュッ!!) ____血祭りにあげてやらぁぁぁぁぁ!!(ギャギャギャワァァァッ!!) クラクラ……ッ いかん……お爺さんにチェーンソーで襲われかけた時のトラウマが蘇る…… 僕はいつか見た悪夢を思い出していた。 「岡村さん!どうしたんですか!?なんか汗かいてるし、顔色悪い」 心配そうに僕を覗き込むユリちゃんに曖昧に笑いながら、ダイジョウブですと答えるもダメだ……ダイジョウブじゃない……こういう時は猫……猫成分で回復をはかろう。 「だ、大福……」 ゲーム好きなら誰もが知ってる、瀕死状態のHP(ヒットポイント)から全回復も可能な回復魔法ケア◯ガ(僕はFF派)、ならぬネコルガを求めフラフラと窓際に移動する。 いた! 愛しのラブリーエンジェル大福ちゃん! 「だ、大福……モフモフさせておくれ……」 うなぁん? 丸くなって寝ていた大福が、ドテっと寝たまま顔だけを僕に向けた。 ああ!ほっぺのお肉がムチってなってカワイイ! もうこの段階でかなり回復。 だけど全回復の為にはやっぱりモフモフしなくては。 大福と出逢ってから僕は思う。 僕に霊力があって本当に良かったと……! さてさてゴージャスボディまであと数歩……といったところで、後方からユリちゃんの歓喜の声が響いた。 「あーっ!かわいい!会社に猫ちゃん!?ん、なんか光ってる?陽射し浴びてるから?や……違うな……身体全体が陽炎みたいに揺らめいてない?……あ……ということは……もしかして……」 会社に猫がいるという事に驚き、嬉しそうにしたユリちゃんだったが、大福の身体を包む陽炎の揺らめきが視えて(僕には視えないけど)、命を持たぬ猫と気付いたのだろう。 彼女は複雑そうな表情(かお)をした。 「岡村さん……この猫ちゃん、」 「うん、ユリちゃんにも視えるんだよね。この仔は僕と一緒に暮らしてる幽霊猫で大福っていうの。少し前に(うち)の近所の神社で出逢ったんだ。幽霊ニャンコだけど、やさしくて賢い良い仔なんだ。仲良くしてくれると嬉しいな」 大福の耳の後ろをコチョコチョしながら幽霊猫を紹介するとユリちゃんは、 「こんなに真っ白できれいな猫ちゃん初めて視ました。大福ちゃんっていうんだね、私は藤田ユリです。これから仲良くしてくださいね」 と、大福にペコっとおじぎをしてくれた。 当の大福は“きれいな猫ちゃん”と言われまんざらでもない様子でポーズを決めている。
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