第五章 霊媒師OJT-1

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ガチャリ! ドアが乱暴に開けられた。 入ってきたのは100パー先入観だけどストレスとは無縁っぽい社長だ。 「待たせたな! 準備OKだ! それからエイミー、これ!」 そう言って僕に投げてよこしたのはプラスチックの小さな箱だった。 なんだろうと思って開けてみると、 株式会社おくりび 東京都T市××町5-6-2日暮ビル ℡×××-×××-×××× 霊媒師 岡村 英海 E‐mail amy_okamura@okuribi.com 「うわぁ、これって僕の名刺だっ!」 僕はさっきまでの胃の痛みも忘れ、渡された名刺をまじまじと見た。 僕の名前の上には“霊媒師”の三文字。 まだまだ全然“霊媒師”とは言えないし、さっきまでネガティブスイッチに胃がキリキリしてたけど、それでも真新しい名刺を見ると気持ちが上がってくる。 「エイミーが面接に来た次の日に発注しといたのが昨日届いたんだ。初現場の時に渡そうと思ってたけど、まさかこんな早くに渡すとはな」 社長はすぐに発注してくれたのか。 名刺を作るのだってタダじゃないのに。 社長は僕が見込み違いで霊媒師として使えない可能性とか、挫けてすぐに辞めてしまう可能性とか、そういうネガティブな事は想定してかったのだろうか? …… ……… いや、そんな事考える人じゃないのだろう。 良い意味でシンプル思考。 なんたって“男は拳と拳をぶつけ合えば大抵の事は解決”、な、人なのだから。
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