第十章 霊媒師事務所の新入社員

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し、しまったーーーーー!! 大福について聞かれたから、ほんの二言三言話そうと思っただけなのに、ウッカリ長くなってしまった! ユリちゃん、きっと呆れてる!! 僕は恐る恐るユリちゃんを見た、が、彼女は大福みたいな真ん丸な目で嬉々としてこう言った。 「岡村さんって、意外とたくさんお話される方だったんですね!私も本当はおしゃべりだから嬉しい!それと大福ちゃん情報もっと聞きたい!」 あれ?呆れてない……? しかも大福話を嫌がるどころかもっと聞きたいって……この子……めっちゃ良い子だ……! 僕が2割の反省と8割の感激に浸っていると、そこに半笑いの社長が割り込んで、 「おぃ、ユリィ!猫ヲタのエイミーに気なんか使わなくていいぞー。はっきり『オッサン、話長ぇんだよ!』って言ってやらんといつまでも猫話終わらねぇぜー?」 なんて言ってきた! なにー!それを僕に言いますか! 「猫ヲタって!それを言うなら社長は車ヲタじゃないですか! ……ははーん、もしかして、さっきの『オッサン、話長ぇんだよ!』って、社長が誰かに言われたセリフじゃないですかぁ?だって社長、車の話になると僕の猫話くらい長いもの……って、あれ?あれれ?」 いつもならちょっとくらい度が過ぎた冗談でも、馬鹿笑いで飛ばしてくれる社長なのに、今の彼は、ガガーン!って表情(かお)で棒立ちになっている。 そして社長の後ろに立つ先代は、僕に向かってブンブンと顔を横に振りまくっていた。 ……そういえば昔、先代は、社長が女の子とドライブデートして振られた時のことを霊視したと言っていた。 振られた原因は、引きまくる女の子に空気を読まず、車自慢を延々やらかしたからだと聞いている。 もしかして、その時、さっきのセリフをリアルに言われたのでは、、、? だとしたら……それは相当辛いっ!
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