第十章 霊媒師事務所の新入社員

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「エイミーどうだ?どう視える?」 と、複数枚プリントしたのか、同じ写真を眺めながら社長が問いかけてきた。 「……はい、先代が笑ってて、大福が眠そうにしているのが視えます。霊体なのにこの2人は白い(もや)じゃない……」 「そっか。俺の目にはデレデレ顔のジジィと、あとはエイミーの胸で靄る(もやる)、白くて丸いモノが視えるぞ」 「え……ということは、社長には先代は視えても大福は白い(もや)に視えるってことですか?」 そうだ、と頷く社長は、手にしていた写真をユリちゃんに渡した。 「ユリ、おまえにはどう視える?」 ユリちゃんは写真を視た途端、小さく息を呑んだ。 「先代と大福ちゃんが視えません……白く光ってる、ここだけフラッシュあてたみたいに」 そう言って何度も視直しているが、やはり先代と大福は(もや)にしか視えないそうだ。 僕もケーキ写真と入社記念写真と何度も見比べながら、みんなそれぞれ視え方が違うことに混乱中。 なんで?なんで?とユリちゃんと一緒にアワアワしていると、 「おぅ、おまえら注目ー!つまりだ、」 パンパンと手を2回叩き、僕らの注意を向ける社長のデカイ声が響いた。 そして、こう続けた。 「つまりな、写真に写る霊の姿ってのはよ、所詮本体じゃねぇ。霊体が持つ電気エネルギーがレンズに焼き付けを起こして写り込むんだ。それだって視る側に霊力がなければ、なにも写ってないように見えるだろう。だけどな俺らみてぇな霊力持ちなら、焼き付いたエネルギーを読み取ることができる、」 と、言う社長の説明に半分納得したものの疑問は残る。
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