第五章 霊媒師OJT-1

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いやぁ、だけど今までの名刺は【営業1課 岡村英海】とか【主任 岡村英海】だったけど、今回【霊媒師 岡村英海】だよ? この名刺、友達に見せたらびっくりするだろうなぁ、ふふふ。 って……ん?……あれ? なんだこりゃ? ニヤニヤと眺めていた名刺の最下段、僕のものと思われるメアドに違和感を感じた。 んー、ん? これなんかおかしくない? 会社のメアドのユーザー名は大抵、本人のフルネームを使うよなぁ。 前の会社でもそうだったし。 だけどなんだこれ? E‐mail amy_okamura@okuribi.xxx.com ……このアドレス間違ってないか? 僕ならユーザー名『hidemi_okamura』でしょ? なのに『amy_okamura』ってなに? 印刷ミス? okamuraは合ってるんだよなぁ……ん? amy? あ……これってまさかエイミー!? もしかして『エイミー オカムラ』でアカウント取っちゃったの!? ウソでしょ!? 「社長! このメアドって……!」 「ははっ! やっと気が付いたか! ユーザー名が“amy_okamura”なんてすっげーカッコイイだろ? エイミーはもはや“英海”じゃなくてエイミーだからな! なに、俺からのささやかなサプライズだ!」 「これプライズなのぉ? もはや英海じゃないって意味がわからないですよ! てかamyで取るかなフツー……」 「あ、やべ! マジでもう出ないと遅くなる、行くぞエイミー! 依頼内容は車の中で話す!」 「え! あ! はい! あれ? 社長手ぶらですか? 大事な物取りに行ったんじゃないんですか?」 「取りに行ったよ! で、今、エイミーに渡しただろう?」 「ええ! 大事な物って僕の名刺だったんですか!」 「そりゃそうだ、エイミーの初現場だからな!」 「あ、ありがとうございます」 amyアカウントには参ったけど、こんな事言われちゃこれ以上文句は言えないじゃないか、くそー。 でもまあ、一応氏名は“岡村 英海”になってる事だし、メアドくらいなら良いだろう、ははは。 気が付けば僕の胃の痛みはすっかり消え去っていた。
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