第十一章 霊媒師 キーマン

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視る、嗅ぐ、気配、この3つのパターンは全滅だった。 かといって、全滅=僕に合った検出方法は別にある、とも言いきれない。 なぜなら湯呑み茶碗が必ずこの部屋の中にあるとは限らないからだ。 隠し場所は3階建ての社屋のどこかで範囲が広く、もしかしたら今いる部屋から遠い場所にあるかもしれない。 となると、もっと狭ければ、視る、嗅ぐ、気配のどれかで見つけられるのに、距離のせいで見失っているだけの可能性がある。 そう考えるとなぁ、失せ物から出る念の到達距離ってどのくらいなのかなぁ? どこまでも延々と伸びるとは考えにくい。 念の強さにもよるが、距離に限界値はあるはずだ。 あれ……?これってなにかに似てない? なんだろ……って、あ、電波だ! 電波と念って似てるんだ! じゃあもしこれが無線LANルーターの電波なら、障害物がない状況で100mくらいはいけると思うけど、念もそのくらいは飛ぶのかな? あ、そうそう、障害物といえばそれも気になる。 会社内のいたるところにある、壁、机、ドアといった障害物にぶつかったら、念も減衰して到達距離が落ちたりするのだろうか? もしそうなら障害物をよけながら、少しずつ範囲を広げて探さないとダメかも。 大変そうだなぁ、実際はどうなんだ? よし、気になることはすぐに質問。 僕、念の検出なんてしたことないからわからないもの。 教えて、先代! 「あの、ひとつ質問なんですけど、探し物から出てくる念って、壁みたいな障害物があると見つけにくくなるとかってありますかね?」 「おっ、気が付いちゃった?岡村君は勘がいいねぇ。大当たり!障害物があると念を見つけるのに難儀するのよ。よほど強い念を持つ物なら別だけど、平均的な念を持つ失せ物だとねぇ、やっぱり弱いからねぇ」
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