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社長には恩がある……って、確かさっきも言っていた。
基本直行直帰のこの会社。
同じ会社にいながらたまの出社日もバラバラで、社員同士が事務所で顔を合わせるのは珍しい。
それが今日、偶然にも僕はキーマンさんに会うことができた。
滅多にない貴重な機会、教えてもらいたいことは山ほどある。
霊媒師になったきっかけはなんだったのか?
キーマンさんの目に霊体はどんなふうに視えるのか?
失せ物探しは視覚、嗅覚、感覚、どれを使って探すのか?
聞きたいことが次から次へと浮かんでくる……くるんだけども……ああ!ごめんなさい!
僕の中のやじ馬根性が「恩があるってなに?どういうこと?気ーにーなーるー!」と騒いでるのだ。
だってさ、渋谷のスクランブル交差点でサンバが踊れるくらいって、どんだけだって思うじゃない。
ウズウズするなぁ、聞いちゃおうかなぁ、どうしようかなぁ。
でもなぁ、仕事と関係ないし……初対面だし……やっぱり聞きにくいよなぁ、どうしよ、
「ボスとの出会い___あれは……three years ago、」
ちょーーーーっ!
向こうから話始めたーーっ!
マジか!や!でも!教えて!ウェルカーーームッ!(あ、キーマンさんがうつっちゃった)
「俺はな、チェリーパイ。昔、K祥寺にある雑貨屋で働いていたんだ。バイトからスタートして数年、気付けば俺は社員に昇格、店長兼バイヤーになっていた」
バイトで入った雑貨屋さんで社員になれただけでもスゴイのに、店長さんだなんてキーマンさん頑張ったんだなぁ。
それでそれで?
「雑貨屋の仕事は楽しかった。俺は元々プリティ&ビュリホーなモノを愛しているし、ショップに立つのも悪くない。そしてなにより兼任のバイヤー業務がサイコーにイカしてた!問屋に並ぶ、雑貨に小物にコスメティック……俺に言わせりゃブロンド赤毛にブルネッタ!卸問屋の粗雑な倉庫で床から天井までギッチリ並ぶ商品は、いつだって俺をハイにしてくれたんだ!」
ブロンド赤毛にブルネッタ……?
キーマントークの難易度がどんどん上がって解読が難しい。
要はカワイイ物好きのキーマンさんとしては、問屋さんに商品の買い付けに行くのが楽しかったってことで……いいかな?
「でだ。エブリデイエブリタイム雑貨に囲まれハッピーライフを送っていた俺だったが、ある日を境に一転した。そう……あの日、あの夜、いつもの買い付けの帰り道。会社のワンボックスに100万分の商品を載せて走っていた時だった、」
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