第十一章 霊媒師 キーマン

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◆ どんなに遅くなっても、買い付けた商品(カワイ子ちゃん)を本社倉庫に連れて行かなくちゃならない俺は、ショートカットに峠道を選んだ。 平日の夜は一般車も走り屋も滅多に見ないから、連続カーブでもマイペースで走ることができる。 山のてっぺんまで登ったあとはひたすら降りるだけ。 鼻歌混じりに走り続け、あと少しで東京に入るって時に事件……いや事故が起きた。 繰り返すカーブを曲がって、減速から徐々に加速し始めたあたりで、道路を横切る影が見えた。 人か!?と焦ったが、どうやら違う。 レインに濡れるフロントガラスの向こうには、車のライトを受けて硬直する小動物の姿。 丸い輪郭に真ん丸の目を見開いて動けなくなっているのは……Oh!タヌキだ! 何度も言うが、俺はプリティ&ビュリホーなモノを愛している。 今目の前にいるタヌキは、アゥイェ!命あるプリティで、どう考えても傷付けるわけにはいかない。 俺はハンドルを大きく切り、思いっきりブレーキを踏んだ。 キキキィィィッとタイヤが悲鳴をあげ、道路が濡れているのもあってか車体が大きく回転する。 回る視界に映ったのは、草むらに向かって走り去るタヌキの後ろ姿。 イエェス、ボーイ、逃げるんだ。 もう道路に出てくるんじゃないぞ。 タヌキを避けたあと、俺と商品(カワイ子ちゃん)を乗せたワンボックスが、反対車線を越えながらトリプルアクセルを決め、山側のコンクリ壁と激突(熱いキッス)をしたとこまでは覚えてる。 強い衝撃と轟音の中、ハンドル中央部から飛び出したダイナマイト級のボインに抱かれて(いだかれて)、俺は意識を失った。
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