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そんなストロングガイに、俺は少なからからずショックを受けた。
だが彼を恨むのは筋違い……シット……そうだ、本当はこんなこと頼むべきじゃあなかったんだ。
恩人のストロングを困らせてしまった。
商品が大事なのは俺の都合で、ガイにはまったく関係のないことだ。
そもそも俺がここで事故ってなけりゃ、事故で道を塞いでなけりゃ、今頃ストロングは家に帰るなり、恋人に会いにいくなり、本来のスケジュールをこなしてたはずだ。
……それなのに、たまたま通りかかっただけの親切なストロングに俺は望みすぎたんだ。
これ以上負担をかけるわけにはいかない。
悔しいが……今は商品を諦めよう。
なんだったら……そうだ、後から俺だけで探しに来ればいい。
救急車だけ呼んでもらって、あとは俺を置いて帰ってもらおう。
ヘイ、と言いかけた時だった。
背を向けたストロングの小さな声が、耳に飛び込んできた。
「チッ、まったく面倒な野郎を助けちまったなぁ」
アゥ……チ。
反論のしようがない……助けてもらってその上、暗がりに散らばった雑貨を探してくれなんて……自分のことしか考えていなかった、俺は恥ずかしい。
今の俺にできること、それは1秒でも早くストロングガイを解放することだけだ。
「そうだよな、無理を言って悪かった。今の話は忘れてくれストロング。俺は大丈夫だ。だから、」
俺を置いて行ってくれ____そう言おうと思ったのに、振り返るストロングはこう言ったんだ。
「ったく、マジ面倒くせぇ。けどよ、ここであんたを見捨てたら最初から助けなかったと同じことだよな。そんなのスッゲェ、ダセェ!」
ホワッツ……?
ナウ、なんて言った?
「鍵さん、あんたついてるな。俺、探し物は得意なんだ」
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