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「おい!おい!鍵さん、大丈夫か?黙り込んでボーッとしてたぞ、もしかして身体が痛むんじゃねぇか?悪い!俺さ、鍵さんが失くしたもの匂いで探せるかもって思ったら興奮しちまって確かめたくて……無理させたか?」
アウチ……ストロングの背中がホットで心地いいからか……うっかり過去にトリップしちまった。
身体は痛むが、あと17個の商品が俺の迎えを待ってる。
もう少しだけファイトだ、俺!
「ヘーイ!なに言ってるんだ、ストロング!無理なんかしてないから安心しな!あんたこそタイアードなんじゃないか?俺こそ悪いな、感謝してる。一緒に探してくれるなんて俺にとっては最高に嬉しいことなんだ……ああ、いや、なんでもないよ、ストロング。さあて、商品はチョコレートエクレアの甘―い匂いでいっぱいなこの辺りにあるはずだ。早いとこ見つけよう!」
俺はストロングに心配をかけないようにノーダメージをアピールした。
……um?
これは……チョコレートエクレアが増えたのか?
甘い匂いはさっきよりも強い。
俺は商品のレスキューを感じようと暗がりの草むらを見渡した。
ん!?
なんだアレ?
「ヘイ!ガイ!ストロングガイ!アレが見えるか?」
俺はガイのスキンヘッドをペチペチ叩きながら叫んだ。
「ッテ!叩くなよ!で、アレってなんだ?」
「アレだよ、アレ!あそこで光ってるアレ!」
「んー?なんだよ、光ってるモノなんてなにもないぜ?」
「アレが見えないのか?じゃあ前に進んでくれ!斜め前だ!」
「わっかんねぇ!斜めってどっちだよ?時計の針で言うなら?」
「2時だ!2時の方向へ1m!」
「オッケー!」
俺を背負ったストログガイが、前方に数歩進んだ。
ワン、トゥー、スリー、
「ヘイ!ストップ!ここだ!ガイの右足のすぐ隣に小さく光るなにかが落ちてる!」
ドデカイ男の背中から地面まで、だいぶ距離はあるが暗がりの草むらでチカチカと点滅する小さな光を見つけた。
俺が仕入れた商品に光を発するモノはなかったはずだが……イメージとしてはホタルのようモノが確かにそこにある。
「……やっぱり光ってるモノなんかないぜ?____だけど、あんたには見えるんだな?オッケー!ここ掘れバウバウだ、ちょっと待ってろ」
ストロングは75kgの俺を背負ったまま、スクワットのように膝を曲げた。
そして左手だけで俺を支えたまま、右手を地面に這わせるとなにかを掴んだ。
「鍵さん、大当たりだ」
そう言って俺の目の前だしたモノ。
それはプチプチアエパッキンに包まれた、小さな小さなガラス細工のクマさんだった。
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