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両手いっぱいに商品を抱え、俺達はアゲイン道路へと戻ってきた。
ストロングは俺を背中から降ろすと、自分の車を端に寄せ三角停止板と発煙筒を焚いた。
そして、かろうじてエンジンのかかる俺の車も同じく端に寄せ、回収した商品をすべて後部座席に積み直してくれた。
「商品はみんな車に戻したし発煙筒も焚いた。この時間のこの峠はまず車は通らねぇ。だけどまあ念の為こうしとけば安心だ。じゃ、そろそろ救急車呼ぶか」
ストロングは、そう言ってポケットからスマホを取り出し119番に電話をかけると、「救急車来るまで俺もいるからな」と笑った。
「悪いな、ストロング。なにからなにまで世話になった。……これ、俺の名刺だ。それからあんたの名刺もくれないか?改めて礼に行きたい」
「礼なんていらねぇよ、当たり前のことをしただけだ。それにスゴイもの見せてもらったしな。あんたの失せ物探しのスキルは俺以上……いや、ウチの会社の連中が束になっても敵わねぇよ。探し物が光って見えるんだろ?しかもほとんどズレもなくピンポイントで見つけちまうんだからなぁ」
「それなんだがストロング、俺も驚いてるんだ。今までは探し物が光って見えるなんてことはなかった、甘い匂いとフィーリングで見つけてたんだ。なあ、あんた本当にその光は見えなかったのか?」
「ああ、見えなかった。あんたにしか見えない光なんだろうな……それで俺思ったんだけど、もしかして今までなにかを探す時、部屋なりなんなり明るくして探してたんじゃねぇか?俺も仕事で失せ物探しする時は、なるべく明るくして探すしよ」
「……um?um、oh!イエッス!そうだったかもしれない!」
「だよなぁ。まぁ、大抵の人は明るい中で探そうとするからそうじゃないかって思ったんだ。今までも、もしかしたら失くしモノが発光してたかもしれないが気が付いてなかったんじゃねぇの?ま、どっちにしたって、あんたの婆さんが力を貸してくれてるのかもな」
「そうか、そうかもしれないな。俺を心配したグランドマザーが手伝ってくれて……、…………?…………ウェイト……ウェイトだストロング。あんた……今、なんて言った?『あんたの婆さんが力を貸してくれてる…』とかなんとかって言わなかったか?」
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