第十一章 霊媒師 キーマン

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◆ 「そりゃあ悩んだよ、ボーイ。俺はプリティー&ビュリホーな雑貨を愛してるからな。それはずっと変わらない。だけどな、ホスピタルで食べたボスのバームクーヘンが最高にうまかったんだよ。忘れられないくらいにな」 首を傾げて両手を上げたキーマンさんは、おどけたように笑った。 それを見たユリちゃんが、 「おいしいものに釣られちゃったんですね?わかります」 と真面目な顔で頷いてるけど、ここ一週間、社長にランチをご馳走になっている自分と一緒にしちゃあダメですよ。 「俺を助けてくれた恩人が俺を必要としている。だけど雑貨屋は俺の天職だ、そう簡単にピリオドは打てない。雑貨かボスかどっちを選んだらいいのかわからなくて、ホスピタルのベッドでローリングするほど悩んだ。ボスはそんな俺を見て、」 社長はなんて言ったんだ……? 結果としてキーマンさんは霊媒師の道を選んだけど、雑貨屋さんを辞める決心をさせる一言があったはずだ。 「いきなりバームクーヘンの包装紙をビリビリ破いて、箱から出したビッグなラウンド(丸い)バームを半分に割ったと思ったらムシャムシャ食べ出したんだ!スゴイだろ?チェリーパイ。チャイルドがこんなコトしたらママンにビックアイズ(大目玉)を食らうとこだが、そこはアダルトだ。ワイルドなイートが許される」 えぇ!? ちょ、社長、なにしてんすか!持参したバームクーヘン(お見舞い)勝手に食べちゃダメですよ! てかキーマンさん、大人でもそんな食べ方ダメだからね? 社長のお母さんいたら絶対ビックアイズだからね? 「で、ボスは言ったんだ。『なんでどっちか1つなんだ?両方やりゃいいじゃん』ってな。俺はそれを聞いてオープンマウス(お口ポッカーン)でフリーズしたさ。だってそうだろ?ボーイ。雑貨屋をやりながら別の会社でワークするなんてインポッシブル(不可能)だ。だけどボスは俺の口にバームクーヘンを放りながら、『やってみなけりゃわかんねぇだろ?つーかさ、俺がどっちも落とさせねぇよ』って……ヒューーッ!クールだぜ!俺は覚えてる!あの時の最高に甘かったバームクーヘンの味をな!」 両方ったって……ウチの会社で霊媒師やりながら雑貨屋さんの店長兼バイヤーなんて無理でしょう? そんなことできないよ。 「じゃあどうしたか。ヘイ、わからないか?さっきボーイも見ただろう?リリィにプレゼントしたスモールドールがヒントだ。俺は雑貨屋を退職してこの会社に転職した。だが雑貨屋は今でもやっている。場所はK祥寺の路面店からネットの中にトランスファー(移転)したがな」 あ……! ネットショップ! 「俺は今でもプリティ&ビュリホーな商品(カワイ子ちゃん)に囲まれてハッピーライフをエンジョイ中だ。ショップネームは ”キー&ストロング” イカすだろ?ショップには俺が選び抜いて仕入れた商品(カワイ子ちゃん)と、最近のメインは俺のハンドメイドドール、ミリタリープリンセスだ」 50da2590-7c26-4d65-813c-94e771ca577e 2023年4月9日、挿絵追加。 キーマンのネットショップ、”Key & Strongu” で売っているスノードームです(*´ω`)
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