第十二章 霊媒師 水渦ー1

4/30
前へ
/2550ページ
次へ
◆ 朝のコンビニは混んでいる。 僕は手短に選んだハム野菜サンドとカフェオレと大福の猫用おやつ、ついでに3時の人間用おやつ(ミニドーナツ)を買い物カゴに入れて早々にレジに並んだ。 3台あるレジのうち真ん中の1台は休止中の立札が置いてあり、稼働してるのは2台だけ。 レジに並ぶお客さんはけっこうな列をなし、それを若い男性スタッフ2人がテキパキとさばいている……が、それでも朝の時間帯にレジ1台減はお会計渋滞を招いていた。 帰りは忘れずにパンを買って帰らなくちゃなぁなんて思いながらボンヤリ順番を待っていると、レジの奥から「お待たせしましたー」とコンビニの制服を着た、50代くらいの男性スタッフが小走りで出てきた。 レジ増援だー! よし、これでちょっとは早く会計できるかも! って、え……ちょ……あの人ダイジョウブ……? なんかすごく顔色が悪いし、頬はこけてて、髪が薄くて(これは仕方ないか)ばらけたバーコードが落武者みたいに見える。 年齢的にも店長さんかなぁ……? アルバイトの突発休みに、緊急呼び出しを食らったような、体調悪いけど急遽シフトに入りました的な感じで心配になる。 人手不足はあるだろうけど、無理しちゃいけませんって。 「お先にお並びのお客様ー、こちらのレジへどうぞー!」 うわぁ、店長さん(たぶん)、めっちゃフラフラだよ、一生懸命笑顔を作ってるけど今にも倒れそう! 両脇の若い男性スタッフは、余裕がないのか店長さんガン無視でひたすらレジと袋詰めに徹している。 「お客様ーどうぞこちらへー、ゲホッ、ゲホッ、」 咳き込んでるし、とりあえず奥で休んだ方がいいんじゃないかな? 他人事ながらハラハラしちゃうなぁ、もう。 …… ………… ………………あれ? なんか……変じゃない?
/2550ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2366人が本棚に入れています
本棚に追加