第十二章 霊媒師 水渦ー1

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社長と先代にどう説明しようかと考えていると、 「____うるさい」 不機嫌な低い声にそれを中断された。 声は僕の背中から聞こえてきた。 ということは、後ろに並んでるお客さんだろうか。 うるさいというのは僕のこと? それとも別の誰かのこと? いや……違うよなぁ。 僕を含め列に並んでる人達は、辛抱強く黙って順番を待っているもの。 「____イライラする」 まただ。 背後からブツブツと、地を這うような声が聞こえてくる。 声は低い。 低いけどこれは女性の声だ。 なににイラついてるのか知らないけど、こんな所で悪態つくなんてめんどくさそうな人だなぁ……あまり関わりたくない。 「____死んでるくせに」 え……? ちょっと待って、聞き違い? 今、死んでるくせにって言わなかった? まさかだけど後ろの人、店長の姿が視えるのか? 「____朝から不愉快だ。もういい、消す」 “もういい、消す”と聞こえたのと同時。 ビュンッ!! と僕の耳元を掠め、風を切る音がした。 その直後、 『があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!』 店長が断末魔のような叫び声をあげた。 視れば蒼く光る矢のような物が左胸に突き刺さり、口から血と泡を吐き出しながら、それを抜こうともがき苦しんでいる。 『ぐ、苦じい(ぐるじい)ぃ!苦じい(ぐるじい)ぃ!抜いてくれぇ!痛い!痛い!助けて!苦じい(ぐるじい)ぃ!直樹ぃぃぃ!助けてくれぇぇぇ!!』 ナオキタスケテ 最後に呼んだのは家族の名前だったのだろうか? 必死に助けを求めながら苦痛に顔を歪め、僕の目の前で店長は砂のように崩れて消えた。
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