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まただ、無理難題を吹っ掛けてきた。
僕の実家をメチャクチャにしてもいいなんて言える訳がないし、水渦さんが社長と結婚?
それだって……いや、まてよ?
2人は独身同士だし……アリか?
「ちょっと待ったーーーー!」
ズシャーーーーーーーーーーーッ!!
突如オフィスチェアに座ったユリちゃんが、待ったをかけて滑車で滑り込んできた。
なに!? どうしたの!?
この派手な登場はウケ狙い?
椅子に乗ったユリちゃんは、ミーティング用テーブルにぶつかると共に、跳ねるように飛び降りた。
そして、
「話は聞かせて頂きました! とっくに下に来てたけど、陰でコソコソ聞き耳を立ててたんです!」
と胸を張る。
要は盗み聞きってことだよね?
普通に入ってくればよかったのに。
さらにユリちゃんのテンションは上がり、
「はい、おはようございます! 実の父親に蹴り飛ばされて気を失っている間に、私を庇った母親を父親に殺された藤田ユリが出勤しましたよっと!」
な、なにそのテンション……しかも重っ!
今日の女性陣、話が重っ!
「自分だけが辛いと思わないでください!水渦さん、でしたよね?なんなら私の過去を霊視しますか? 私もそこそこヘビーですよ? だからって私、人を傷付けたいなんて思いません!」
さすがユリちゃん! 良いこと言う!
だけどこれはいい流れかも。
僕らがアレコレ言うよりも、同じ女性同士、似たような辛い過去を持ったユリちゃんからの言葉の方が水渦さんに響くかもしれない。
いいぞ、ユリちゃん!
がんばれ!もっと言ってー!
「そ、それから水渦さん! さっき言ってた、その、社長と、け、け、け、結婚っ! だなんて絶対認めません! だ、だ、だ、だって、しゃ、社長は、社長は、私と結婚するんですからーーーーっ!」
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