第十二章 霊媒師 水渦ー2

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水渦(みうず)さんにとって、お姉さんは特別なんだと思います。だけど……だけどね、お姉さん以外にも水渦(みうず)さんを心配したり気にかけたりしてくれる人もいるんですよ?』 『………………』 『たとえば社長です。あの人、口は悪いけど、水渦(みうず)さんを解雇したくないって思っているのがバレバレです。それから僕もです。僕はこの会社に入社して、水渦(みうず)さんの後輩になりました。会社を通して繋がりができたんです。これから先、助け合ったり笑い合ったり、仲良くなれたらいいなぁと思っています。過去は関係なく、今日から新しく、です』 『今日から、ですか』 『そうです。水渦(みうず)さんと今日初めて会って、しょっぱなから()られかけて、話し合って、決裂しかけて、そしてなぜか一緒に社長とユリちゃんを霊視(のぞきみ)するというスタートを……てか、ナニコレ、たった数時間で濃いな』 思い出して顔をしかめる僕に、水渦(みうず)さんが付け足した。 『……それと、岡村さんは私にハーブティーを淹れてくれましたよね。とてもおいしかったです。あれは……なんというものでしたか?』 『ラベンダーティーです。ノンカフェインで気分が落ち着きます』 美味しそうに飲んでくれてたもんな。 気に入ってもらえたなら僕も嬉しい。 『そうでした、ラベンダーティーでしたね。私にお茶を淹れてくれた人は、姉以外では初めてです。それに、ここまで食い下がって私に説教してきた人も。社長ですらこんなにしつこくないですから』 『あ……やっぱりしつこかったですよね……僕……その、偉そうなことばっかり言っちゃって、すみませんでした』 『いいえ、かまいませんよ。こんな見た目でこんな性格ですから、大抵の人はまともに私を相手にしないので驚いただけです。皆さん私とは極力関わりたくないそうですから』 関わりたくない____そう聞いて、胸がチクリと痛んだ。 僕の大好きなあの2人もそう思っているんだろうか? 深く聞いていいものか躊躇したものの、それでも聞かずにはいられなかった。
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