第十二章 霊媒師 水渦ー2

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◆ 「おまえら、ちゃんと反省してんのか?」 オフィスチェアーの上に正座させられた僕と水渦(みうず)さんは、怒り心頭の社長から、今まさに大目玉を食らっているところである。 最初は床に正座だ!と騒いでいた社長に、「それじゃあ足が痛くなります」と庇ってくれたユリちゃんのおかげでこうなったんだけど、なんせキャスター付きだから身じろぐたびに不安定に揺れた。 「まったく、プライベートなことは覗くなっていってるだろうが!」 社長の剣幕に、「すみません、反省してます」と項垂(うなだ)れる僕の横で、水渦(みうず)さんはシレっとそっぽを向いていた。 もう!お願い!火に油ダクダク注ぐのはヤメテ! 「ミューズ……反省してねぇだろ?つか、おまえが言い出したんだな?エイミーはまだ霊視できねぇからよ。それからエイミーもエイミーだ、ミューズに誘われたからって一緒になって覗くな!」 丸太のような太い腕を、分厚い胸の前で組む社長の威圧感。 だけど、なにも言い返すことはできない。 なんたって100パー僕らが悪いもの。 もう社長の気が済むまで責めを受けるしかないのだ。 もちろん反省してる、少なくとも僕はね。 だけど水渦(みうず)さんは……絶対してなさそう。 だって、めっちゃ唇噛んでるもの、笑い出すのめっちゃガマンしてる感じだもの。 どうか社長に気付かれませんように……なんて祈ったけど、僕の願いは叶わなかった。 「オイ、ミューズ。なにがおかしいんだ?なに笑い堪えてんだ?あぁ?」 いくら根っからのフェミニストとは言え、乱暴な言葉使いに社長の苛立ちがみえた。 が、そんなことには興味すらないと言わんばかりに、マイペースな水渦(みうず)さんはこう切り出した。 「……ひひ……ッ、失礼しました。ときに社長、どうしても疑問に思う事がありまして。答えていただけますか?」 えぇ!? いきなりぃ!? てか大丈夫!? なんの質問か知らないけど、ソレ、今聞いて大丈夫なヤツ!? 「なんだ?言ってみろよ」 僕の心配をヨソに、意外にも社長は答える気があるみたい。 てか、水渦みうずさん、どうか変なコト言い出しませんように……!
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