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僕と水渦さんの“あわよくば家電ゲット”は、ひとまず横に置いといて。
メモをポケットに突っ込んだ社長は、先代に向かってこう言った。
「ったく、ジジィは先走りすぎなんだよ。俺からちゃんと言おうと思ってたのに」
!!
____俺からちゃんと言おうと思っていたのに、?
____俺からちゃんと言おうと?
____俺から?ナニを言うつもりだったの?
そこ!くわしく!!
「あぁ?だからよ、今すぐじゃあねぇが俺はユリと結婚する。当たり前だろ?」
ふらーッ!
時が止まるレベルの爆弾発言を受け、その場に倒れるユリちゃんを光の速さでキャッチする社長。
アーンド、ササっと素早く前に出た大福が、二股尻尾をハート型に整えて2人を盛り上げていた。
「ユリは小せえ頃から人一倍苦労して、悲しいことも辛いことも乗り越えてきた。その分優しくて思いやりのあるヤツだ。事務の仕事だって覚えることが一杯で大変なはずなのに弱音も吐かずに頑張ってる。俺はそういう頑張る人間が好きだ。そんなユリが勇気を振り絞って想いを伝えてくれたんだ。俺はそれに応えてぇ。遊びで付き合う気なんざサラサラねぇよ」
そう言い切る社長の目は湖のように澄んでいた。
一糸の迷いも感じない。
本気なんだな……らしいといえばらしい。
ふと見ると、剛腕に抱かれ意識を手放したはずの幼い姫の顔は、ピクピクと細かく痙攣していた(主に口元が)。
ん?
んー?
ん。
ははーん、ユリちゃん、キミ、起きてるね?
こりゃ途中で目を覚ましたな。
で、社長の話を寝たふりで聞いて、嬉しくてニヤニヤするのガマンしてるのが、正面にいる僕から見ればバレバレなんだけど、すごーく幸せそうだから気が付かないふりしてあげる。
まったくもう。
あはは、だけど好きな人にこんなこと言われたら嬉しいよね。
わかるよ。
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