第十三章 霊媒師 清水誠

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「ばっ!(ちげ)ぇよ!そんなに遠回りじゃねぇよ!おまえは車運転しねぇからわからねぇんだ!……つかよ、誤解すんなよ?ユリを送ってたのは、本当に帰り道が心配なだけだったんだからな!」 上半身をぐぃんと捻り、後部座席に向けて必死の弁解。 はいはい、そうですよね。 帰り道が心配だったんですよね。 社長のその言葉にウソはないのだろう。 だけど、ちょっぴりイジワルをしたくなった僕は、あえて言葉少なに返事をするコトにした。 「ほお(ニヤニヤ)」 どうです? この曖昧な返事とイラっとするにやけ顔。 真綿のプレッシャーがキツイでしょう? ちなみにコレの参考モデルは水渦(みうず)さんですよ。 「な、なんだよ!言っとくが、ユリの部屋に上がったりもしてねぇからな!アパートの玄関まで送って鍵かけたの確認したら、すぐに帰ってたしよ!まぁ、たまにメシは食ったけど当然、外メシだ!あ、あとスーパーに付き合ったコトがあったな。それだってユリだけで米とかジュースとか重たいモン買うのは大変だから荷物持ってやっただけだ!いたってクリーン!健全だ!」 お! 効いてる効いてる! ツルッパゲに汗をかくほど動揺してるから、自分からいろいろ話し始めたよ! おお、愉快愉快(水渦(みうず)さん風)! なるほどねぇ、2人でゴハン食べたりスーパーでお買い物までしてたんですねぇ。 ほうほう。 てか、そんなこと毎日されたら、そりゃユリちゃんも惚れるわー。 ニヤニヤニヤニヤ 「……なんだよ?なにさっきからニヤニヤしてんだよ?言いたいことがあるならハッキリ……!……いや、いい、やっぱ言わなくていいや。もうこの話は終わりだ! んじゃ、車出すぞ!ユリ、シートベルトしたか?よし、出発だ!」 ちょっと社長、後部座席の僕にもシートベルトしたか聞いてくださいよって、これ以上イジワルしたら怒られちゃうな。 今日のところは、この辺で勘弁してあげます。 いざ、社長のおうちへ!
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