第十三章 霊媒師 清水誠

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「なんだよ親父!見過ぎだよ!ユリが話しにくいじゃねぇか!なんだぁ?もしかして結婚に反対なのか?だとしても俺はユリと結婚するぜ?」 腕まくりでもしそうな勢いで大和さんにがなる社長。 すると大和さんは大慌てでこう言った。 「違う違う!反対なんてとんでもない!バチあたりな!おまえと結婚してもいいなんて女性はそうそういないぞ?」 「だったらなんなんだよ!ロクに喋んねぇで、ジロジロ見るなんて失礼だろうが!」 確かに、反応が僕の時とぜんぜん違う。 なんて言うか、すごく戸惑っているような空気を感じるんだよなぁ。 社長のおうちは男2人家族だから、女の子相手にどうしていいかわからないのだろうか? 「ああ、ユリさんには嫌な思いをさせてしまった。悪気はなかったのだけど怖かったね、申し訳ない。 ただ……ユリさん、誠から聞いたところによると、あなたまだ18才なんだよね?」 大きな身体を縮めるように話す大和さんは、もしかしてユリちゃんを怖がらせないように気を遣っているのかもしれない。 けれど、ユリちゃんの年齢を確認するということは……もしかして若すぎることを懸念してるのかな。 「は、はい。今年で19才になります」 緊張した様子で答えたユリちゃんに、大和さんは小さく息を吐きながら、 「そうですか、今年でやっと19才……それでユリさん、おかしなことを聞くようだけど……誠が今いくつだか知ってる……?」 と聞いた。 「年ですか……?知っています、34才ですよね?」 不思議そうな顔のユリちゃんに、大和さんは今度は大きく息を吐いた。 「ああ、良かった……!ちゃんと誠の年、知ってたんだね!いやぁ、ほら、こんなに若くて綺麗なお嬢さんが34のオジサンを好きになるなんて信じがたいでしょう?もしかして、誠が年をごまかしてユリさんを騙してるんじゃないかと不安だったんだよ!いやぁ、そうかそうか!知ってて好きになってくれたんだね!それは本当にありがたい!でもいいの?誠はオジサンだよ?」 「良かった、ホッとした」とゴシゴシ胸を撫で下ろす大和さんに社長は不満そうに口を尖らせている。 隣のユリちゃんは「社長はオジサンじゃありません!若いしカッコいいです!」と力説してるのだが、大和さんはそれを嬉しそうに聞いていた。
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