第十三章 霊媒師 清水誠

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「久しぶりだな! 壱号、弐号、参号!」 額に汗を浮かべ、満面の笑みで声を掛ける社長。 壱号、弐号、参号、と呼ばれたゴリマッチョ3人は、それぞれ大きく頷いている。 切り株を依り代に電気で人形(ひとがた)を形成した3人は、ほぼほぼ見分けがつかない。 社長をコピーしたゴリマッチョなスキンヘッドに、全員黒いジャージ上下を着用していた。 それぞれ2本線がアクセントに入っているが、壱号さんは赤ラメ、弐号さんは黄ラメ、参号さんは青ラメ。 元々社長は金ラメ黒ジャージをよく着ているから、たぶんオリジナルに寄せたファッションなのだろう。 「さっそくだが頼みてえコトがある。ちょっくら黄泉の国まで行って、藤田家の3人を呼んできてほしい」 社長の頼みに3人はガコガコと頷いた。 了解した、ということなのだろう。 声に出して返事をしないのは……できないからなのだと思う。 そう、3人には顔がないのだ。 本来あるべき、目もなければ口もない。 鼻はあるけど、鼻の穴は開いていなかった。 「じゃあ頼む。ウチのお客さんだからくれぐれも丁重にな」 そう言って片手を上げる社長に3人は一斉に親指を立て、 ヒュンッ! と、風の音を残し、その姿を消した。 「いやあ、前置き長くて(わり)いな。俺の口寄せはジジィのやりかたとは違えんだよ。ジジィのが王道だ。だが、1度に呼べる人数は1人だけ。今回は藤田家3人、いっぺんに呼びたかったから、俺が口寄せすることにしたんだ。壱号、弐号、参号に頼めば、アイツらが抱えられる分だけ連れてこれるからよ。しばらく待っててくれ」
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